特発性側弯症Q&A

FAQs on Idiopathic Scoliosis

 

 日本の側わん症の患者と家族がよく尋ねる質問について、英語の情報源(書籍、HP、ML、掲示板)や、皆さんからお寄せいただいたたくさんの体験談をもとに、回答をまとめました。

(1)側わん症の中でももっとも多い、思春期に発症する、特発性の(原因のわからない)側弯症関する情報が主です。 原因のわかっている側わん症(先天性、ポリオ、マルファン症候群、脊髄係留症候群、脊髄空洞症、筋ジストロフィー、腫瘍、事故や病気による脊椎への損傷などによるもの)、また思春期より前に発症した人には、当てはまらないかもしれません。

(2)側弯症は、なった原因、カーブの箇所や程度、他の疾患の有無などによって、状況が異なってきます。不安のある方は、ネットで解消せず、必ず専門医の診察を受けてください

(3)回答は、一般的なこと、科学的に証明されていることを、中立的な立場からまとめました。 言いかえれば、科学的に証明されていないこと(民間療法など)については、あまり書いていません。 また良いことも、悪いことも、書いてあります。

This page ventures to answer some of the questions frequently raised by scoliosis patients and their families. The answers here focus mainly on Adolescent Idiopathic Scoliosis and may not apply to people who got scoliosis by birth defect, tumor, tethered cord, Marfan, etc. Also, please note that the answers here merely gives a general briefing on the condition. All people are different. Be sure to see a specialist if you have any worries. 

 

質問をクリックすると、答えにジャンプします。
(Click questions to jump to answers. All text in Japanese.)

 1. 側わん症について、まず必ず知っておきたいこと (ABC of Scoliosis)

 側弯症とは、どんな疾患ですか? 命に関わりますか?(What is scoliosis? Is it fatal?)

 うちの子供が側弯症と診断されました!(パニック!)どうしたらいいですか?(親御さんがすべきこと、できること) (My child has scoliosis! (panic) What should I do?)

 ○○地方に住んでいます。側わん症外来のある病院を教えて下さい。(Where is the hospital with a scoliosis specialist in my region?)

 側わん症にはどんな種類がありますか?(What are the types of scoliosis?)

 姿勢が悪いのが原因ですか?(Isn't it a result of poor posture? Or carrying heavy bags?)

 どのように診断するのですか?(How is it diagnosed?) 

 今度病院に行きます。 どのような検査をしますか?(What to expect at the doctor's office.)

 コブ度とは何ですか?(What is a Cobb degree?)

 側わん症の治療とは、どのようなものですか?(What are the treatments for scoliosis?)

 病院に行っても、レントゲンを撮るだけで何もしないので、不満です。もう病院に行くのをやめようかと思います。(My doctor takes X-rays and does nothing else.)

 成長期が一番進行する確率が高いそうですが、どのくらい進行するのでしょうか?(Risk of progression?)

 側わんのカーブにはどのような種類がありますか?(Know your curve pattern.)

 運動によって角度が改善されることはありますか?(Will exercises reverse scoliotic curves?)

 カイロプラクティックなどの民間療法で側弯症は治りますか?(How effective are chiropractic and other alternative treatments?)

 病院の先生は、なぜ民間療法を信頼しないのですか?(Why don't the doctors trust alternative treatments?)

 レントゲン写真を撮るたびに角度が少し違います。なぜですか?(My Cobb degree differs every time I take X-rays.)

 いろいろなポーズでレントゲン写真を撮るのはなぜですか? (Why do I have to take sooooo many X-rays?)

 レントゲン写真をたくさん撮ることでの被爆が心配です。(I'm worried about excessive radiation exposure.)

 側弯症はどのくらいの割合で発症しますか?(How many people get scoliosis?)

 男子より女子のほうがかかりやすいのですか?(Girls more susceptible than boys?)

 特発性側弯症の原因は何ですか?(Possible causes of idiopathic scoliosis.)

 

 2. 装具について (Bracing)          

 装具の目的は? 効果は? 種類は?(What are the purpose/effect/type of braces? )

 装具をつけているときも、運動をしたほうがいいのですか? また、どのような運動がいいのでしょうか?(Exercises during bracing?)

 夏場、装具を着用するとき、役に立つかもれないこと (Possible tips on wearing braces during hot seasons)

 修学旅行に行きます。装具をはずしていってもいいでしょうか?(Should I wear my brace to my school trip?)

 子供が装具をつけません。どうしたらいいでしょうか? (My child does not wear her/his brace...)

 

   3. 手術について (Surgery)      

 手術が必要なのは、どのような人ですか?(Who needs surgery?)

 側わん症の手術とは、どのようなものですか?(What is a spine fusion surgery?)

 側わん症の手術にはいろいろな方法があるのですか?(Are there various surgery methods?)

 ロッド(金属棒)は一生入れたままでも大丈夫なのでしょうか?(Is it OK to have the rod implanted?)

 手術でカーブはどのくらい改善されますか? またリブハンプ(背中の盛り上がり)は目立たなくなるのでしょうか?(How much will my curve be corrected by surgery? What about my rib hump?)

 手術に最適な年令は何歳くらいですか?(Is there a magic age for surgery?)

 手術のメリット/デメリットには何がありますか?(What are the gain/loss(es) of a fusion surgery?)

 背中の金属棒は、空港の金属探知機にひっかかりませんか?(Will my rod set off the alarms at airports?)

 子供が遠方の病院に入院します。家族が安く泊まれる施設はありませんか? (Low cost accomodations for families?)

 

  4.側わん症の大人が、よく尋ねる質問 (FAQs mainly from adults)  

 片方の肋骨が出っ張っています。おかしいのでしょうか…?(My rib cage is deformed.)

 大人ですが、最近側わん症と診断されました。どうしたらいいでしょうか?(I'm an adult recently diagnosed as scoliosis.)

 子供の頃側わん症と診断されました。その後、病院には行っていません。最近、急に不安になってきました。どうしたらいいでしょうか?(I was diagnosed as mild scoliosis as a child. I haven't been to a doctor since. But suddenly I am worried. What should I do?)

 側わん症が内蔵に影響を与えることがあると聞きました。最近、生理痛がひどいです/胃がよく痛みます/頭痛持ちです、etc。側わんのせいでしょうか?(Is my menstrual pain/stomach ache/head ache, etc. because of my scoliosis?)

 側弯症は遺伝しますか?(Is it heritable?)

 大人用の装具はありますか? (Braces for grown-ups?)

 結婚式を挙げますが、私にあうドレスはあるでしょうか?(Are there wedding dresses I can wear?)

 妊娠への影響は?(Can I have babies?)

 手術をしたので背中に金属棒が入っています。出産しても大丈夫でしょうか? また手術後、妊娠するまでどのくらい待つべきでしょうか?(I had rod implantation. Can I deliver babies? How long should I wait after surgery to have babies?)

 大人になっても進行しますか?(Will it progress after growth spurt?)

 日常生活で気をつけたほうがいいことはありますか?(Any daily precautions?)

 腰痛を軽くする方法はありますか?(Any tips to ease my lower back pain?)

 肩こりを楽にする方法はありますか?(Any tips to ease my stiff shoulders?)

 保険に入れますか? 他の人はどうしているのでしょうか?(Can people with scoliosis apply for life/medical insurances?)

 障害者手帳は取れますか?(Are people with scoliosis qualified as disabled?)

 手術をしたので、背中に金属が入っています。MRIはできますか?(I have metal implants. Can I take MRIs?)

 

 

1.側わん症について、まず必ず知っておきたいこと
ABC of Scoliosis

● 側弯症とはどういう病気ですか?命に関わりますか?(What is scoliosis? Is it fatal?)                                    

 正確に言えば、「側弯症」とは病気ではありません。「状態」を表す言葉です。

 「側弯症」とは、背骨が側方向、つまり横方向に曲がる状態を言います。 そして曲がりとともに、特有の「ねじれ(回旋:かいせん)」を伴います。 タオルをゆるく絞ったような状態をイメージしてください。

 つまり側わん症とは、背骨が3次元的に、ねじれながら曲がっている状態を指します。 古代ギリシャのヒポクラテスが書いているので、太古からあるものといわれています。

 残念ながら、側弯症は一度なってしまったらなくなりません。 一生付き合うことになります。 しかし特発性側わん症そのものは、よほど重症(コブ度が100度以上)にならないかぎり、命に関わることはまずありません。 ほとんどの人は働き、結婚し、出産し…と、普通の人生を歩み、寿命をまっとうすることができます。そのことを証明した研究結果はこちら

  側わん症について説明したホームページや本です。 (それぞれ下線部をクリックすると、HPに飛びます)。

  @ 「予防医学ライブラリー 」 こどもの骨の病気 脊柱側わん症を中心に

  A 日本側彎症学会HP 「側彎症とは」

  B 滋賀県立小児保健医療センター 整形外科のホームページ 

  C 読売新聞「医療ルネサンス:脊柱側わん症」(2006年2月14〜18日連載記事)
     
側わん症の症状と治療についての説明のほか、治療の最新情報についても

  D下出真法著 『子どもの背骨の病気を治す―脊柱側彎症と子どもの姿勢』(講談社ライブラリー) ¥1470) とくにお子さんが側わん症と診断されたばかりの親御さんに、お勧めします。側わん症とは何か、治療法、治療の目的について書かれています。 1冊手元においておくと、側わん症とは長い付き合いになることが多いので、疑問があったとき、すぐ見ることができるのでいいと思います。 

  この他、「側わん症関連書籍」のページでも、側わん症関係の本を紹介しています。

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● うちの子供が側弯症と診断されました!(パニック!) どうしたらいいですか? (My child has scoliosis! (panic!) What should I do?)

 1.まず何はともあれ、側弯症の専門医に診てもらってください。 行き先は、病院の整形外科の「側弯症外来」、または「脊椎変形外来」です。 

 2.正式に側わん症と診断されたら、成長が終わるまで専門医のもとで定期的にチェックしてもらってください。 これはとても大切なことです。

   何年間か付き合うことになりますので、病院の先生とはいい関係を作るように心がけましょう。 もしどうしても先生を信頼できない、相性が悪い、という場合は、病院を変えてみるのも1つの手です。

 3.他にお子さんがいたら、側弯症でないか、念のため、チェックしてもらいましょう。

 4.側わん症について知りましょう。 本やインターネットで側わん症について、学んでください。 残念ながら、日本語ではまだあまり情報がない上、誤った情報もあるので、注意してください。 病院の先生は大切な情報源です。 

 5.お子さんの精神面にも十分配慮してあげてください。

   側わん症と診断されるのは、多感な思春期の時期と重なることが多く、「側わん症は、体よりも心理的な影響のほうが大きい」、とさえ言われています。 お子さんが精神的に落ち着けるような、家庭環境を作ってあげてください。 「かわいそう…」などと言って泣かないでください。 側わん症の大人のなかには、「親に泣かれたのが一番つらかった」と言う人が少なくありません。 側わん症について、家族でオープンに話せる雰囲気を作ってください。 そして、お子さんを特別扱いせず、今までと同じように接してください。 

 「側わん症はお母さん病」とも、言われています。 お子さんが側わん症と診断され、親御さんが不安になる気持ちはよくわかります。 不安が昂じて泣き続けたり、ヒステリー状態で、お子さんをどなりつけているお母さんも見かけます。  しかし、側わん症は直接命に関わるものではありません。 ほとんどの人は、就職、結婚、出産…と、側わん症ではない人とほとんど変わらない人生を歩み、寿命を全うします。 どうぞ必要以上に不安にならないでください。 親御さんのストレスはお子さんにも伝わりますし、お子さんの心の負担を大きくします。 

(2005年2月、ちょっと書き直し)

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● ○○地方に住んでいます。側わん症外来のある病院を教えて下さい。(Hospitals with scoliosis clinics?)                                   

 「脊柱側わん症外来」のある病院を探す方法として、たとえば、以下の方法があります。

 ・日本側彎症学会のHP 「医療機関一覧」 

  日本全国、地域ごとに一覧になっています。 病院名、医師名、診察日も載っており、患者にはとても助かるページ。

 ・(財)東京都予防医学協会:学校保健相談室 

  学校検診で側わん症と診断された子供を対象に、電話相談を週に3日行っています。側わん症の専門医も応対しており、医療機関なども紹介してくれる、とのこと。(情報提供者:mimiさん)

 日本整形外科学会(The Japanese Orthopedic Association)

  「関連リンク」の項目から、大学病院のHPにリンクしています。 自宅近くの病院に側わん症外来があるかどうか、探してください。(情報提供者:mimiさん)

 ・ネットで検索する。キーワードは、「脊柱側彎症外来」「病院」「都道府県名」、など…かな。

 ・医師に紹介してもらう。 病院の整形外科で、側わん症の専門医を紹介してくれるでしょう。 

 どうぞ、あなたの通院に便利な病院、あなたに合った医師を見つけてください。

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(2005年3月UP)

● 側わん症にはどんな種類がありますか?(What are the types of scoliosis?)                                   

 一口に「側弯症」といっても、いろいろな種類があり、原因、発症年令、カーブの位置や大きさによって、いくつかに分けることができます。 側わん症の種類によって、治療が異なることもあります。

 (1)「構築性」と「機能性(習慣性)」という分け方

 広い意味での「側わん症」には、この2種類が含まれます。 

 下の図は、側わん症の背骨を非常に単純化して描いたものです。(手書きなので、見苦しくて、すみません)。 一見同じように見えるかもしれませんが、右側は「機能性側わん症(Functional Scoliosis)」、左側は「構築性側わん症(Structural scoliosis)」です。

  機能性側わん症(右側)は、背骨に対する筋肉や重力の働きによって起こり、いつも同じ方向に赤ちゃんを抱いている、いつも同じ肩にかばんをかけている、痛みをかばって体をねじっている、といった生活習慣によって引き起こされます。一見背骨が曲がっているように見えますが、背骨の骨そのものは変形しておらず、横になったり、体を引っ張ってみるとカーブは消えます。生活習慣を改善したり、原因を取り除けば、背骨はまっすぐになります。そのため、とくに治療は必要ありません。

 一方、構築性側わん症(左側)では、一部の骨がくさび型に変形しています。そのため、背骨そのものがカーブし、また背骨全体に特有の「ねじれ」がでます(「ねじれ」とは、タオルを絞ったような状態をイメージしてください)。 そのため、横になっても、体を引っ張ってみても、カーブは消えません。狭い意味での、そして本当の意味での「側わん症」がこれで、治療を要します。このHPで扱っているのは、この構築性側わん症のほうです。

 どちらの側わん症であるかは、専門医がレントゲン写真を見れば、識別できます。

 一方、民間の治療院やマスコミなどでは、この2つがよく混同されています。 「側わん症も治せます」と言う治療院は、この2つの側わん症を混同していることが多いようなので、注意が必要です。

 (2)発症年令での分類

先天性 Congenital 生まれたときから。
乳幼児性 Infantile 3歳までに発症するもの。 成長の一過程として現れる場合が多く、自然と治ってしまうケースが多い。
若年(学童期)性 Juvenile 4歳〜10歳の間に発症するもの。 側わん症全体の約15%を占める。 発症してから成長が終わるまでの期間が長いため、「思春期性」より重症になるケースが多い。
思春期性 Adolescent 思春期に発症するもの。 側わん症の中でも、もっとも多い。
成人性 Adult 若い頃から側わん症だったが気づかずにきて、大人になってから指摘されるケースがほとんど。 ごくまれに、事故などで脊椎を損傷したことがきっかけで起こることも。
老人性(変性) Degenerative 老化により、骨がもろくなって起こるもの。

 (3)原因による分類

先天性 Congenital 母親の胎内での、脊椎や脊髄の発達異常によるもの
麻痺性 ポリオなどによるもの
神経繊維腫瘍性 腫瘍などによるもの
神経原性 Neuromuscular 脳や脊髄の異常によるもの
筋原性 筋肉の病気(筋ジストロフィー)や異常によるもの
遺伝性疾患によるもの マルファン症候群、脊髄空洞症、脊髄係留症候群など
老人性(変性) Degenerative 老化によるもの
その他 Others 事故などで、脊椎を損傷したことによって引き起こされるもの、など
特発性(とくはつせい) Idiopathic 上記のいずれの原因でもないもの。 側わん症全体の80%を占める

 「特発性(とくはつせい)」とは消去法による呼称で、「他の病気によって引き起こされているわけではない、原因のわからない病変」という意味です。 

 「突発性(とっぱつせい)」と間違える人が、とにかくすごく多いのですが、「突発性」は「あるとき突然なる、原因のわからない病変」という意味です。側わん症はあるとき突然なるわけではなく、徐々になるものなので、「突発性側わん症」というのはありえません

 (4)カーブの位置による分類

   側わんのカーブは形や現れる位置によって、12種類くらいに分かれます。主なものは、下の表の上4つです。

シングル・カーブ(カーブが1つ) Single Curve 胸椎型(右凸が多い) Thoracic
  胸腰椎型 Thoracolumber
  腰椎型(左凸が多い) Lumber
ダブル・カーブ(カーブが2つ) Double Major Curve 胸椎と腰椎にカーブがある
トリプル・カーブ(カーブが3つ) Triple Curve 頚椎、胸椎、腰椎にカーブがある

 詳しくは、症のカーブには、いろいろな種類があるのですか?の項目をご覧ください。

 (5)カーブの程度による分類

コブ角の度数 (Cobb degree)

 
子供で10 度以下、大人で15度以下 正常範囲 (ほとんど心配いらない)
10/15〜25度 軽度
25〜45度 中度
46度以上 重度
80度以上 高度

 (6)「進行性(Progressive)」か「非進行性(Non-progressive)」か

   側わん症の多くは、進行しない「非進行性」です。

 このHPの「女性と側弯症(Women and Scoliosis)」というページにも、詳しく説明してあります。

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● 姿勢が悪いのが原因ですか?(Is it a result of poor posture? Or carrying heavy bags?)                          

 「姿勢が悪かったから」、「教科書がたくさん詰まった重いかばんをもっていたから」側弯症になったのではないかと考える人は多いようですが(困ったことに、私の父も未だにそう思っているようです…)、そうではありません。

 広い意味で、「側わん症」と呼ばれているものの中には、一見「側わん症に見えるもの」、つまり「背骨が曲がっていないのに曲がっているように見えるもの」も含まれています。 これを「機能性(習慣性)側わん症(functional scoliosis)」と言います。 たとえば、坐骨神経痛などのために体をいつもねじっていたり、あるいはいつも同じ方向にかばんを持っていたり、足を組んでいたために体がゆがんでしまう場合などがこれに入ります。 このような、生活習慣などに原因がある背中のゆがみは、原因を見つけ、その原因を取り除けば背骨はまっすぐになります。

 一方、背骨そのものがカーブしていて、背骨の一部に変形が見られ、さらに背骨に側わん症特有の「回旋(かいせん:「ねじれ」のこと)が入っているものが、狭い意味での、また本当の意味での側わん症です。 これを「構築性側わん症(structural scoliosis)」と言います。 これは姿勢の悪さ、重いかばんをもった、牛乳をあまり飲まなかった、などといった生活習慣が原因でなるのではありません。 構築性側わん症か機能性側わん症かは、専門医がレントゲン写真を見れば、容易に識別できす。

 マスコミや民間の治療院では、この「一見側わん症に見える、機能性側わん症」と「本当の側わん症である、構築性側わん症」とが、よく混同されており、「側わん症治します」と宣伝していたりするので、注意が必要です。

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● どのように診断するのですか?(How is it diagnosed?)                                           

  外見からの診断方法では、まず、まっすぐに立ち、背中が床と平行になるまで徐々に前屈します。両手は力を抜き、前にだらんとたらします。 このとき、左右の背中の高さが同じかどうか見ます。 「モアレ撮影法」という、地図の等高線のようなものを背中に投影して見る方法もあります。 レントゲンを撮れば、一番正確にわかります。

  以前、まだ側わん症がまだあまり知られていなかった頃は、本当に重症になるまで気がつかないケースが多かったのですが、最近では、検診の際に側弯症もチェックする学校が増えてきたので、手術が必要なほど重症な人は以前より減ってきているそうです。

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● 病院ではどのような検査をするのですか?(What to expect at the doctor's office.)                                

  基本的には、前屈テスト、レントゲン撮影、両手足の感覚に違いがないか筆などで手足をさわってみる、病歴の聞き取り、問診などです。患者は痛くもかゆくもありません。

 また、側わん症の原因、神経の状態、成長の度合いを調べるために、血液検査やMRI、CTスキャンなどをする場合もあります。

 レントゲン写真は必ず撮るので、着替えやすい服装で行きましょう。 もしご自宅に、以前撮ったレントゲン写真(胸部のみのものでもOK)などがあれば、持っていくといいでしょう。

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● コブ度とは何ですか?(What is a Cobb degree?)                                           
 「コブ度(Cobb degree)」とは、背骨の曲がり具合を数字で表したものです。 

 「コブ(Cobb)」とはその測り方を考案した医師の名前です。背骨のカーブを測定する方法はいくつかありますが、「コブ方式」は誤差が少ないので、もっとも広く使われています。測定にはレントゲン写真を使います。

 右の図は、コブ角の測り方を示したものです。 数字が大きくなるほど、重症ということになります。

 コブ度は、側わんが進行しているかどうかを見たり、治療方針を決める目安になるので、とても大切な数字です。 お医者さんから度数を告げられたら、必ずメモしておきましょう。

 また、整形外科医ならだれでも、コブ度の正しい測り方を知っているわけではありません。 近所の整形外科医で測ってもらったら、低い角度で安心していたら、実際にはもっと角度が大きくて、治療の開始が遅れてしまった…というお子さんもいます。 側わんの度数は、必ず専門医のところで測りましょう。

ADOLESCENT IDIOPATHIC SCOLIOSIS )

 なお、どんな測定でもそうですが、コブ度にも誤差が生じます。 コブ度の誤差については、このページのレントゲン写真を撮るたびに、角度が少し違いますが、なぜでしょうか?をお読みください。

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● 側わん症の治療とはどのようなものですか?(What are the treatments for scoliosis?)                                

 側わん症は、成長期に進行する確率がもっとも高いので、治療は主に成長期の子供を対象にしています。治療は、角度によって異なります。

コブ度

治療法

10〜25度 経過観察。 年に数回、レントゲン写真を撮って、進行するか、安定していてそれ以上進行しないか、見る。 それ以上進まなければ、治療もとくに必要はない。 中には、成長につれ、カーブが自然に治ってしまう子も。
25〜29度 グレーゾーン。 治療を始めるかどうか、医師も迷う角度。 年齢が低いと、装具をつけはじめ、年令が高いと、引き続き経過観察になることも。
30〜45または50度 まだ成長期にあるなら、装具療法が勧められる。 装具のねらいは、カーブの進行を食い止めること(曲がった背骨を矯正することではない)。 装具をつけても効果が得られず、急激に進行するようなら、手術になることも。
45または50度〜 装具療法では効果が期待できないので、手術が検討される。

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● 病院に行っても、レントゲンを撮るだけで何もしてくれないので、不満です。もう病院に行くのをやめようかと思いますが…?(My doctor takes X-rays and does nothing else.)

 軽度の側わん症で、経過観察と診断されたお子さんの親御さんの間で、こういう不満の声をよく聞きます。

 でもちょっと考えてみてください。 適もしこれが側わん症ではなく、ごく初期のガンだったらどうでしょうか?  「進行していないか、チェックするために数ヶ月おきに検査に来てください」と医師に言われたら、毎回必ず病院に行くのではないでしょうか? そして、検査の結果、「進行していませんね、今のままの生活を続けていてもいいですよ」といわれたら、喜ぶのではないでしょうか。 つらい治療をしなくていいのです。 側わんも同じだと思います。 治療が必要な角度まで進んでいないのなら、喜ぶべきことです。 装具は本人や家族にとって身体的にも、精神的にも大きな負担ですし、側わんの手術は安全になってきたとはいえ、やはりリスクがあります。

 経過観察中でも、やれることはたくさんあると思います。 まず、側わん症について正しい知識を得ることがあります。本を読み、同じ立場の人たちの話を聞き、話し合うこと、などです。 また、お子さんの身長やコブ度、検査結果などを、まとめておくのもよいかもしれません。 たとえば、私は側わんの他にも疾患がありましたので、母は私の「病気の記録」というノートを作っていました。 担当の先生の名前やお話、検査結果などがびっしり記してあります。 大人になってから病院にかかったとき、このノートはとても参考になりましたし、母への感謝の気持ちで一杯になりました。 3つ目は、お子さんとの間に信頼関係を築き、お子さんが精神的に落ちつくような家庭環境をつくるよう心がけることです。 側わん症は、思春期という、体も心も大きく変わり、自意識過剰になる、難しい時期と重なることが多いので、これはとても大切なことだと思います。

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● 成長期が一番進行する確率が高いそうですが、どのくらい進行するのでしょうか?(Risk of progression during growth spurt?) 

 進行する確率は、「その子供があとどのくらい成長するか」と、「コブ角の度数」とが目安になります。 成長の時期は男女や個人によって差があるので、表の年齢は人によって多少前後にふれます。

側わんが進行する確率

コブ度/年令

10〜12歳

13〜15歳

16歳以上

20度未満

25%

10%

0%

20〜30度

60%

40%

10%

30〜60度

90%

70%

30%

60度以上

100%

90%

70%

Data generated by the Scoliosis Research Society, Chicago, Illinois, USA.
(出典:
Scoliosis Detection and Management)

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● 側わん症のカーブには、どのような種類がありますか?(Know your curve.)

 特発性側わん症のカーブはいろいろありますが、主なパターンは4種類です。カーブの種類によって、現れる症状などが少しずつ違うので、自分のカーブのタイプを把握しておくといいかもしれません。これ以外のカーブ(カーブが3つある、など)の人もいます。もちろん、これは一般的なことなので、症状などには個人差があります。

カーブの種類

定義・特徴

症状

胸椎型Thoracic 胸椎部分、つまり肩甲骨のあたりがカーブしている。側わん症の中でも、もっとも多いタイプで、右側にカーブする場合が多い。女性に多い。 ・一方の肩甲骨が飛び出す。
・前かがみになったとき、背中の片側の盛りあがりが目立つ。
・腰痛は出にくい。 
・角度が70〜80度を超えると、変形した肋骨が肺を圧迫し、心肺機能が低下する恐れがある。
胸腰椎型Thoracolumber 胸椎から腰椎にかけての部分、ちょうど背中の真中部分にカーブの山がある。左側にカーブしている場合が多い。 ・前かがみになったとき、背中の片側の盛りあがりが目立つ。
・腰痛は、腰椎型よりは出にくいが、胸椎型よりは出やすい。
・胴体のねじれが目立ちやすい。
腰椎型Lumber 腰椎部分にカーブがある。左にカーブしている場合が多い。男性に多い。 ・カーブが腰椎部分だけなので、カーブが短い。
・背中の盛りあがりはほとんど目立たない。
・腰痛が出やすい。
ダブル型(S字/逆S字)Double Major S字あるいは逆S字型に、大きさがほぼ同じカーブが2つある。 ・2つのカーブがバランスを取り合っているので、4種類の中では、もっともバランスのいいタイプとされる。
・2つのカーブが背骨のねじれを打ち消し合うため、背中の片側の盛りあがりも目立たず、背骨の曲がりもわかりにくい。
・腰痛も出にくい。

左から、「胸椎型」、「胸腰椎型」、「腰椎型」、「ダブル型」

(Michael L. Richardson, M.D., "Approaches To Differential Diagnosis In Musculoskeletal Imaging" )

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● 運動によって、側わんの角度が改善されることはありますか?(Will exercise reverse scoliotic curves?)                              

 これは頻繁に質問されるものの、非常に答えが難しい質問です。 なぜなら、全く正反対の説があるからです。

 思春期特発性側わん症はやせた女子に多いことから、筋力が関係あるのではないかとして、特発性側わん症と運動との関係を調べた研究はいくつかあります。 そして、筋力アップの体操により、側わんの角度が改善されたり、進行が止まったという研究結果もあります。 なかには、「15歳くらい以下の子供で、角度が20〜60度くらいなら、適切な装具と運動療法により、最高で20〜28度の改善が見られた」という、かなり具体的な研究結果もあります。

 しかし、全く正反対の研究結果もあるのです。つまり、「運動によって、側わんのカーブは良くも悪くもならなかった」というものです。

 そのため、側わん症先進国のアメリカでは、運動の効果は未だ科学的に十分証明されていないとして、体操療法にはそれほど積極的ではありません。 一方、ヨーロッパの一部の病院の中には、「装具療法+体操を含めた理学療法」よって治療の成果が高まるとして、体操を取り入れているところもあるようです(ただし、私が聞いた限りでは、やはり主流ではないらしい…)。

 なお、体操療法を取り入れている医師も、次の点を認めています。
 @体操療法は決して装具療法や手術の代わりになるものではなく、あくまで装具療法を補助するもの
 A体操によって改善した角度は、多くの場合、体操をやめると元に戻ってしまう。 
 B体操によって角度が改善した場合、大人になった後もずっとその角度が維持されるかは、まだ追跡調査がされていないので、わからない。 
 C具体的にどのような体操がいいのかについては、まだ模索の段階。 

 しかし、前の項にも書きましたように、「側わん症の人は、背骨を支える筋力をつけ、筋肉の萎縮を防ぎ、固くなった筋肉をほぐすためにも、なるべく運動したほうがいい」という点では、すべての専門医の意見が一致しています。  

 運動や体操は、心身の健康のために、とてもよいことです。 側わんの角度は改善されなくても、体操や運動によって痛みが楽になったり、楽しい気持ちになるなら、十分メリットがあったといえるかもしれません。

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● カイロプラクティックなどの民間療法で側弯症は治りますか?(Can it be cured by Chiropractic or other alternative treatments?)               

 これも、「運動で側わんは改善するか」という質問同様、側わん症患者の間で、しょっちゅう質問され、論争にさえなる質問です。

 私自身、いろいろな民間療法を試してみましたが、痛みが一時的に楽になった以外、効果はありませんでした。(途中からは、痛みが楽になればいいと思って通うようになりました)。 同じ患者として、民間療法を試してみたくなる気持ちはよくわかります。でも、民間療法にはリスクもあります。貴重な時間とお金を投じるのです。以下の点を忘れないでください。

@まず、自分が側わん症について正しい知識を身につける。 

 「側わん症の種類」の項にも書きましたが、構築性側わん症では、背骨の一部の骨そのものが変形しています(左のカーブ)。 そのため、一度構築性側わん症になったら、手術以外の方法で「まっすぐになる」、「完治する」ことはありえません。 
 なので、「これ以上進行しないようになら、できます」とか、「若干カーブをゆるくすることならできるかもしれない」と言うのならまだしも、「側わん症は完治する」とか、「背骨、まっすぐになりますよ」と言う治療院は、疑ってかかったほうがいいと思います。
 残念ながら、側わん症のことを本当に理解している民間療法の先生は、ほとんどいません。この拙HPで側わん症のことを勉強している先生もいるほどです。

 A民間療法を試してみる間も、病院の定期検診には必ず行く。 背骨の状態が正確にわかるのは、レントゲン写真だけです。 目視やスチル写真では良くなったように見えたのに、病院でレントゲン写真を撮ってみたらカーブが進んでいた、というケースも実際に聞いています。(しかも、民間療法の先生から聞きました)。 
  また、少しでも疑問や体の変調を感じたら、その民間療法はやめたほうがいいでしょう。 

 Bひとくちに「側わん症」といっても、なった原因、年令(大人か子供か)、角度(軽度か重度か)、などによって、背骨の性質は異なります。 別の側わん症の人によかったものが、あなたやあなたのお子さんにもいいとは限りません。 
  よく掲示板などに、「これで側わん症がよくなった」という体験談が載っていますが、中には病院に行っていない方や、体調がよくなったから側わんもよくなったはず・・・と思いこんでいる方も少なくないようです。 なので、他の患者さんの「側わんが良くなった/改善した」という体験談を見聞きしたら、その人は、(1)病院の専門医のもとでレントゲン写真を撮り、本当にコブ度が減っていて、その減ったコブ度が維持されたのか、それとも、(2)体のゆがみがとれたり、痛みが楽になったり、体調が良くなったということなのか…を見極めたほうがいいと思います。

 以下の点も参考にしてください:

 @『医業類似行為に対する取扱について』 平成3年6月に、厚生省(当時)が、各都道府県の衛生担当部(局)長宛てに出した通知では、カイロプラクティック療法などについて、次のように書かれています。(上の下線部をクリックすると全文が読めます)

 「医学的効果についての科学的評価は未だ定まっておらず、今後とも検討が必要」であるとし、「椎間板ヘルニア、…、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、…、側彎症、二分脊椎症、脊椎すべり症などと明確な診断がなされているものについては、カイロプラクティック療法の対象とすることは適当ではない」

 A全国総合カイロプラクター連合会が定める、カイロプラクティック治療が適さない人

  8歳以下の子供、背骨の手術をした人、体内に金属が入っている人、高血圧の人、妊婦、骨粗しょう症の人、骨について病院で病名の出た人・・・にはカイロプラクティック療法は適さない、とあります。(上の下線部をクリックすると、そのHPに飛びます)

 B守秘義務とプライバシーについて

 「守秘義務」とは、「仕事などによって、他人の住所、氏名、年令、病歴、財産状況などの個人情報を知りうる立場にある人が、得た個人情報を無断で他の人に知らせてはいけない」という、社会のルールです。 医師、弁護士、税理士などが、顧客や患者の情報を、ぺらぺらと他の人にしゃべってしまったりしたら困りますよね。 
 病院で行われている治療は、世界中の何万人という患者さんのデータを集めた上で有効性が確認されたものですが、民間療法はそうではありません。そのため、民間治療院の先生のなかは、新しい患者さんを集めるために、他の患者さんのデータやカルテを他の人に見せてしまう先生もいます。 こうした行為は、「守秘義務違反」と「プライバシーの侵害」にあたります。 
 万が一、自分や家族の医療情報を第三者に開示されて不快な思いをしたり、実害をこうむったら、損害賠償が請求できる場合もあります。 弁護士さんなどに相談されてみてはどうでしょうか。

(2006年9月、補足)

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● 病院の先生は、なぜ民間療法を信頼しないのですか?(Why don't the doctors trust alternative treatments?)

 ある治療や薬の効果を確かめるためには、入念な検査や調査が必要です。

 少なくとも、2つの条件を満たすことが必要です。 この2つの条件を満たすことはかなり難しいです。

 @大勢の患者(少なくとも100人以上)を調べること。

  5,6人の患者さんに効果があっても、その治療がその病気の多くの患者さんに効果があるとは言えません。数が少なすぎるからです。 データは、数が多ければ多いほど誤差が減り、信頼性が高くなります。どんなに少なくても100人くらいの患者さんを調べてみることが必要です。
 西洋医学の研究では、何百人、何千人、場合によっては何万人もの患者のデータを集めたものもあります。

 A比較検証すること。

  人間には、「効果があった」という話をたくさん聞くと、これだけの人に効いたのなら…と信じたくなる傾向があります。 しかし、効果があったという話だけをいくら集めても、その療法の効果を証明することにはなりません。 その療法を用いても治らなかった例、その療法を使わなくても治った例、などを集めて比較検討しなければ効果は検証できません。(日経新聞、2005年7月8日) 

  比較検討には、「コントロール・グループ(control group)」、または「対照群」と呼ばれるグループを使います。  たとえば、ある新薬の効果を調べる場合、患者200人を選び、薬を投与します。 しかし人間、「効く」と思って飲めば、砂糖水を飲んでも、よくなってしまう場合があります。 
 それで、同じ病気の患者をさらに別に200人集め、害にも益にもならないもの(「プラセボ」とか「偽薬」と言います)を与えます。 後者のグループを、「コントロール・グループ」と言います。
 最後に、2つのグループの結果を比較します。 もし、薬を投与したグループが、コントロールグループよりも、明らかに良い結果が出ていれば、その薬は効果があることがはっきりと確認されるわけです。

 側わん症の治療の中で、この2つの条件を満たし、たしかに効果があると認められ、生き残ったのが、装具と手術なのです。 

(2005年7月26日UP)

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● レントゲン写真を撮るたびに、角度が少しずつ違いますが、なぜですか?(Why do the Cobb degrees differ every time I take X-rays?) 

 世の中、どんな測定でも必ず「誤差」が生じます。コブ角の誤差の原因には、以下のものがあります。

 @レントゲン写真を後ろ向きで(レントゲンの機械に背を向けて)とったか、あるいは前向きで(レントゲンの機械のほうを向いて)撮ったか。 後ろから撮った写真と前から撮った写真を比較するのでは、そもそも全く違ったものを比較していることになる。

 Aコブ角を測る際に引く線の引き方が、医師によって微妙に違う。また同じ医師でもその都度、線の引き方が微妙に違う。

 Bレントゲン撮影時の患者の姿勢。

 C背骨は3次元で立体のものだが、レントゲン写真は2次元で平面なものなので、立体的なものを平面で表すこと自体に無理がある。

 通常、誤差の範囲は3〜5度くらいです。

 また、背骨の曲がりの程度とねじれは大体比例します。 つまり、角度が大きくなるほど、背骨のねじれも大きくなってきます。 ねじれが大きくなるほど、レントゲン写真に写るカーブの部分は真っ白になって、読みとりにくくなり、度数が測りにくくなります。 80度以上の高度側わん症では、ねじれが大きいため、誤差の範囲も10度くらいにもなる、といわれています。

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● いろいろなポーズでレントゲン写真を撮るのはなぜですか?(Why do I have to take so many X-rays?)                              

 病院の専門医のところに行くと、たくさんのレントゲン写真を撮ります。これはカーブの種類や骨の発達具合を正確に見極めて、適切な治療を行うためです。それぞれの写真の目的は、概ね以下の通りです。 

 (1)立って、レントゲン機械のほうを向いて、あるいは機械に背を向けて撮る写真:背骨の側わんの度合いや、ねじれの度合いを見る。

 (2)横を向いて、レントゲン機械に対して垂直に立って撮る写真:脊柱後わん症(背骨が極端に後ろにわん曲しているもの)や前わん症(背骨が極端に前に彎曲しているもの)がないか見る。

 (3)台の上に寝て撮る写真:私たちが立っているときには、上半身の体重が背骨にかかるが、寝ているときには背骨に上半身の体重はかからない。負荷がかかっていない状態の背骨の状態を見るために撮る写真。大抵は、寝て撮った写真のほうが、カーブがゆるやかになる。立って撮った写真と、寝て撮った写真の違いが大きいほど、骨が柔軟だということ。年をとったり、角度が大きくなって背骨が固くなってくるにつれて、立って撮った写真と、寝て撮った写真はほとんど違いがなくなってくる。

 (4)台の上で横向きになり、足を交差して撮る写真:骨の柔軟性をみるため、、またカーブが2つある人の場合、どちらのカーブが主なカーブか見るために撮る写真。カーブが2つある場合、一方がメインのカーブで、もう1つのカーブがは体がバランスをとろうとして現れたカーブという場合がある。この場合、メインのカーブのほうを集中的に治療すれば、バランスをとるためのカーブのほうもそれにつれて改善されてくる可能性が高い。

 (5)腰骨、あるいは手のレントゲン写真:骨の成長がどのくらい終わっているかを見る。骨盤は(1)のレントゲン写真に映っている場合もある。(骨盤の発達については、右の図を参照)。

成長期の骨盤の発達
(出典:ADOLESCENT IDIOPATHIC SCOLIOSIS )

 ところで、レントゲン写真は毎回なるべく同じ方法で撮らないと、微妙な変化がなかなかわかりませんし、意味がありません。
 たとえば、立って撮る1)の写真では、レントゲン機械のほうを向く撮り方と、レントゲン機械に背を向ける撮り方とがあります。レントゲン機械のほうを向いて撮る方法を「AP(Anterior-Posterior)」と言います。レントゲン機械に背を向いて撮る方法を「PA(Posterior-Anterior)」と言います。そしてAPで撮るなら、いつもAPで、PAで撮るなら、いつもPAで撮らなければなりません。なぜなら、たとえば、りんごの変化を観察しようと思ったら、いつも同じ方向からりんごを見ますよね。ある日はりんごを前から見て、ある日は後ろから見て、それらを比較することはしませんよね? それと同じです。撮り方が違うと、そもとも違うものを比較することになってしまい、比較する意味がなくなってしまうのです。

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● レントゲン写真をたくさん撮ることでの被爆が心配です。(I am worried about radiation exposure.)                                 

 1970年代前半頃までは、レントゲン写真を撮るときの放射線量が多かったため、1970年以前に診断された側わん症患者は乳がんの発生率が高いという研究結果もあります。(←下線部をクリックするとその論文の抄録が英語で読めます)

 その後、レントゲン機器もずいぶんと改良され、撮影する際の放射線量も1970年代以前の1/2〜1/6で撮影できるようになりました。また病院や医師によっては、成長期の子供の被爆量をできるかぎり少なくするために、撮影する枚数を減らしたり、モアレ撮影法や身長測定といった方法を併用する場合もあります。

 レントゲン写真による被爆が心配な方は、主治医にその旨を相談してみましょう。 撮影枚数を減らせるかもしれません。 また撮影のときに、生殖器のところに鉛のシールド(保護具)をつけてもらえないか、レントゲン技師に尋ねてみるといいかもしれません。

 X線を使わずに背骨の状態をチェックし、CG映像で表示する新しい医療機器も開発されました。普及が待たれます。(↑下線部をクリックするとその機械が見られます)

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● 側弯症はどのくらいの割合で発症しますか?(How many people get scoliosis?)                                    

 側わん症は、ごく軽い人まで含めれば、かなり発症率の高いものです。

 私が1970年代に病院からもらったパンフレットによれば、「日本での発症率は、軽い人も含めると約1%」とあります。とすると、日本には100万人くらいの側わん症の人がいる、という計算になります。

 Brooke Lyons著の"Scoliosis: Ascending the Curve" の本によれば、「10度以上の側わんの発症率は40人に1人(2.5%)、20度以上の発症率は200人に1人(0.5%)、30度以上は333人に1人(0.3%)」とあります。

 つまり、側わん症は、軽い人は非常に多く、重い人は少ない疾患です。手術が必要な50度以上になるのは、側わん症の人の1〜2割ほどです。  

 50度くらいまでは、洋服を着ていたら、ほとんどわかりません。 またほとんどの側わん症の人は、自分が側わん症であることを隠そうと思います。 最近、「側わん症」で検索すると、ブログが山のようにヒットします。 改めて、側わん症の人って多いのだなと思いました。

 なお、側わん症でも、モデル、女優、バレリーナなど、人前に立つ仕事をやっている人もたくさんいます。 詳しくは、側わん症の有名人のページをご覧ください。

(2006.1.27ちょっと書きなおし)

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● 男子より女子のほうがなりやすいのですか?(Girls more susceptible than boys?)                                    

 その通りです。10度以上の側弯症患者の男女比は、4:1です。

 また重症になる可能性は、女子のほうが男子より8〜10倍も高いです。

 そのため、筋力の強度や女性ホルモンが特発性側わん症の原因と関係があるのではないかと考え、調べている研究者もいます。  

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● 特発性側弯症の原因としてどのようなものが考えられますか?(What are the possible causes of idiopathic scoliosis?)                       

 側弯症の80%は、原因がわからない「特発性(とくはつせい)」です。世界各地で、側弯症の原因を少しでも解明できないかと、研究者が日夜研究を続けています。そして少しずつ、側わん症を引き起こす原因がわかってきており、側わん症に占める特発性の人の割合はわずかずつながら下がってきているそうです。

 原因の究明は、いろいろな方面からなされています。女子に多いことから、エストロゲンなどの女性ホルモンが関係しているのではないかと考える研究者もいます。 筋力の弱い子に多いことから、筋力が関係しているのではないかと考える研究者もいます。 1つの家族に複数の患者が出る場合も少なくないので、遺伝子からの研究も進められています。 他にも、メラトニン、脳、コラーゲン、食生活、神経系統、骨密度などなど、いろいろな方面からのアプローチが進められています。メラトニンについての研究についてはこちらを参照

 しかし、決定打はなかなか見つからず、原因は1つだけでなく、複数の要因が複雑に関係しあっているのではないかともいわれています。  早く原因が解明されることが望まれます。

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2.装具について
Bracing

● 装具の目的は?効果は?種類は? (What are the purpose, types and effects of scoliosis braces?)               

 装具(brace、ブレス)の目的は、背骨をまっすぐにすることではなく、角度の進行を抑え、手術を避けることです。

 コブ角が50度を超えると、成人した後も、また妊娠・出産を機に、側わんが進行する確率が非常に高くなります。角度が大きくなればなるほど、外見的にも目立つようになるだけでなく、痛みやしびれ、感覚障害が出る確率も高くなります。 また、胸の部分にカーブがある人の場合、80度を超えるとねじれた肋骨が肺を圧迫し、肺機能が低下しはじめます。肺機能が低下すると、心臓に負担がかかります。 さらにコブ度が100度を超えてくると、肺炎や心不全で若くして命を落とす危険性が高くなってきます。 こうした状況を防ぐため、進行の可能性が高い子供の時期に、まだ角度が低いうちに進行を止めよう、というのが装具の目的です。

 装具の効果ですが、約80%の人で進行が抑えられます。裏返していえば、約20%の人には、残念ながら効果がなく、装具をつけていても進行してしまいます。また、コブ角が50度を超えていても、装具は効果がなくなります。したがって、まだ低い角度のうちに側わんを見つけて装具をつけはじめ、低い角度のままで抑えるという、「早期発見・早期治療」がとても大切になってきます。

 装具の種類はたくさんあり、ミルウォーキー(Milwaukee)、ボストン(Boston)、チャールストン(Charleston、夜間だけつける装具)、マイアミ(Miami)、ニューヨーク(New York)、スパインコー(SpineCor)などがあります。

 日本ではミルウォーキーとボストンが主流です。ボストン・ブレスは、アンダー・アーム・ブレス」とか、「TLSO」ともいいます。装具の素材や形も、ここ20〜30年の間にずいぶんと改善されて、軽量になってきているようです。

 装具は個人個人の体に合わせて、石膏で型を取ってから作成し、また成長に合わせて作りかえます。装具療法の効果を高めるには、装具がきちんと体に合っていることがとても大切です。

 装具については、このHPの「女性と側弯症」の「治療方法」のコーナーにも説明がありますので、そちらもご参照ください。

ミルウォーキー装具をつけたバービー人形(Milwaukee Brace)

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● 装具をつけているときも、運動をしたほうがいいのですか?また、どのような運動がいいのでしょうか?(Exercises during bracing?)

 最初の質問への答えは、「はい、運動したほうがいいです」です。

 毎日、長時間装具をつけていると、筋肉が萎縮し、また体が装具に頼ってしまうため、筋力が落ちてしまいます。正しい姿勢を保つには筋力が必要ですし、成長期の子供にとって筋肉の発達はとても大切です。また、骨の成長が終わって装具療法が終わったときに、装具にかわって体をしっかり支える十分な筋力が必要です。もちろん、「装具をつける必要はない、経過観察」と言われた軽度のお子さんにとっても、背骨を支える筋肉をつけることはとても大切なことです。

 では、具体的にどういった運動がいいのでしょう? 残念ながらこれについては、特効薬的な運動も、また明確で統一された答えも出ていないようです。

 ただ、背骨を支えるための腹筋や背筋を鍛え、装具によって固くなった筋肉をほぐすような運動がいいだろうという点では、だれもが一致しています。 たとえば、水泳は、全身運動な上、水の浮力により関節に負担がかからない、装具がはずせるという解放感もあるので、多くの医師が勧める運動です。

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● 夏場に装具を着用するとき、役に立つかもれないこと。(Possible tips on wearing braces during summer.)                         

 日本の夏は高温多湿なので、とくに夏に装具をつけるのは大変です。

 私が装具をつけていたのは、大昔のことなので、(それに恥ずかしながら、結構すぐに挫折してしまったので)、当時どういう工夫をしていたのか、あまり覚えていません。 しかし大人になってから、腰痛軽減のためにわきの下から腰までのコルセットをつけており、コルセット着用で工夫していることを、「こんにちは、ララちゃん」のHPを運営されているSarahさんにメールしたところ、「とても参考になった」とHPに掲載されました。以下、参考になるかもしれませんので、私が工夫していることを中心に書いてみます。

 1.下着を工夫しましょう。化繊の下着は汗が抜けず蒸れます。しかし天然素材のものは、汗がぐっしょり濡れて、クーラーの効いたところに行くと冷えてぞくっとしてしまいます。最近は、汗をかいてもさらっとしている素材のものがでているので、これがいいようです。あまりレースやフリルなどがついていると、縫い目が体にあたって痛いので、シンプルな形のものがいいでしょう。スポーツショップの登山グッズ売り場などでは、保温性が高く、それでいて汗をかいてもさらっとしているアンダーシャツを売っていますが、女性にはちょっと色気がなさすぎかもしれません。洋服も化繊のものより、天然素材の服のほうが涼しいでしょう。

 2.折りたたみ式の大き目の袋を常備しているといいかもしれません。 そうすれば、外出中にお腹が痛くなったり、気分が悪くなったとき、はずした装具を中に入れることができます。また苦しくなったときにすぐ装具を緩められるよう、洋服も工夫してみるといいかもしれません。ワンピースよりも、上下が分かれた、シャツとパンツ/スカートの組み合わせのほうがいいかもしれません。また。夏場の外出時には、熱を反射する日傘など、役に立つかもしれません。

 3.下着は洗濯の際、十分すすぎをしましょう。肌の敏感な人は、下着に残っている洗剤でかぶれてしまう場合もあります。

 とにかく装具療法は長丁場なので、あまり無理をしないのが、長く付き合うコツではないかと思います。

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● 修学旅行に行きます。装具をはずしていってもいいでしょうか?(Should I wear my brace to my school trip?)

  まず、先生に相談してみてください。装具を着ける時間は、側わんの角度、年令、成長の度合いなどによって異なります。 もう成長が終わりに近づいていて、進行の確率が低そうなら、修学旅行の間ははずしてもいいと先生は判断されるかもしれません。

  装具との付き合い方について、"Scoliosis: Ascending the Curve"の本に次のような文章があります。 作者は、バレリーナになることを夢見て、成長が終わるまで装具を着けていたアメリカの若い女性です。 とてもいい文章だと思いましたので、日本語に訳して皆様にご紹介します。

 「私の意見ですが、何か正当な理由があるときに、たまに装具を着けないことは許されることだろうと思います。 しかし、装具を着けない口実をあまり頻繁に作ると、あとで代償を払うことになるかもしれません。 体操やダイエットと比較するとイメージがつかみやすいかもしれません。 ダイエット中でも、たとえば結婚式といった特別の日には、ケーキを食べてもいいかなと思うかもしれません。 しかし、とくに理由もないのに、毎週ケーキを食べるようなことはしないでしょう。 同じように、装具を着けたくないという正当な理由があるときには、はずしてもいいでしょう。 しかし、装具を投げ出すことはしないでください。 

 「…どんなときにはずしてもいいかについては、主治医のアドバイスにしたがいましょう。 多くの若者は、とくに大きな問題もなく、装具を着けます。 しかし装具を着けるのは、医師ではありません。 装具を着けて生活するのは、言うのは簡単ですが、実際にやるのは大変なことです。 …装具を着けている間、「ごほうび」として、短い時間装具をはずすことに罪悪感を感じないでください。 装具に対して、正直で理にかなった考え方をしましょう。 だれかを喜ばせたり、助けたりするために装具を着けるのではありません。 自分のために、自分の健康を維持するために着けるのです」(Brooke Lyons著 "Scoliosis: Ascending the Curve" P68-69)

(2005年6月16日 UP)

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● 子供が装具を着けません。どうしたらいいでしょうか? (My child does not wear her/his brace...)

これはとても難しい問題で、決定的な打開策はないかもしれません。 私の場合ですが、親のほうから装具をやめるように言いました。 それから15年以上たった後、私はその代償を払うことになりました。 なので、まず、親御さんのほうから、装具をやめさせるようなことはしないでいただきたいと思います。

  上でも紹介した、"Scoliosis: Ascending the Curve"の本に、いくつか打開へのヒントが列挙されています。日本語に訳して、ご紹介します。

 1.会話を維持しましょう。 口論は絶対に避けましょう。 意見が異なるなら、共通の部分を探しましょう。 たとえば、親も子も、健康を願い、手術は避けたいと思っているはずです。 目標への道筋が違うだけかもしれません。妥協点を探しましょう。

 2.装具を着けたがらない理由を理解しましょう。 理由によって、対応も異なってくるかもしれません。 「痛いから」、「学校で笑われる」、「彼氏に嫌われる」といった理由では、それぞれ対応も異なってくるでしょう。

 3.同じ境遇にある同年代の子供と接する場をもうけてあげましょう。そうすれば子供も、状況を受け入れ、気持ちが落ち着き、役に立つ情報を得られるかもしれません。

 4.医師や装具屋さんに相談しましょう。装具をはずす時間を増やせないか、また少しでも着け心地がよくなるよう、調整できないか、相談してみましょう。

 5.夫婦関係をよくしておきましょう。 子供が側わん症と診断され、装具を着けることになった親のなかには、不安になり、自分を責め、抑うつ状態にさえなってしまう人もいます。 もともとうまくいっていなかった夫婦関係がさらに悪化し、破綻の危機に直面するケースもあります。 こうした家庭環境は子供にとって、最悪のものです。 子供は装具に加え、家庭の問題も抱え込むことになり、こうなると装具を着けることは、ほとんど不可能になってしまいます。

 6.子供が全く装具を着けず、万策尽きたと感じても、お子さんに対して不信感を持ったり、否定したりしないでください。 装具を着けない、イコール、だめな人間、弱い人間、ではありません。 お子さんの問題を過少評価しないでください。 常に話し合いの余地を残しておいてください。 時がたつうちに、お子さんの考えも変わるかもしれません。 (Brooke Lyons著 "Scoliosis: Ascending the Curve" P81-82, 109-110より抜粋)

(2005年6月16日 UP)

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3.手術について
Surgery

● 手術が必要なのは、どのような人ですか?(What kind of people require surgery?)                                

 医師が、手術をしたほうがいいのではないかと考える理由には、以下のものがあります。

(1) コブ角が、子供で大体45度以上、大人で50度以上である。
(2) あきらかに急速に進行している、あるいは今後も進行する可能性が非常に高い
(3) 装具療法が効果がなかった、あるいは効果がないと思われる。
(4) 骨の成長がある程度終わっている。
(5) 胸椎部のカーブが70〜80度以上で、変形した肋骨が肺を圧迫しており、心肺機能が低下している。
(6)骨がまだ柔軟で、カーブがある程度矯正できると期待される。

 側わん症の手術は「がん」などと違い、ほとんどの場合、「絶対に」やらなければならない手術ではありません。 また、かなり大掛かりな手術で体への負担は心臓の手術に匹敵する、と言う医師もいるほどです。 決して、美容上の理由だけでやるべきではありません。 メリットとリスクを十分検討し、納得いくまで医師と話し合い、必要なら他の医師からセカンド・オピニオンを求めた上で決断すべきでしょう。

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● 側わん症の手術とはどのようなものですか?(What is a spine fusion surgery?)                        

 側弯症の手術は「脊柱融合手術(spinal fusion surgery)」ともいいます。 手術の最大の目的は、背骨を固定して、それ以上の進行を止め、将来肺や心臓に負担がかかるのを防ぐことです。 そして可能なら、少しカーブを矯正して、外見を改善すること、また痛みがひどい大人の場合には痛みを改善することにあります。

 背骨は1つの大きな骨ではなく、たくさんの骨(「椎骨」といいます)が集まってできています。椎骨と椎骨との間には、椎間板があります。椎間板はクッションのような役目をしており、このおかげで、私たちは前後左右に体を曲げることができます。

 側わんの手術の基本的な考え方は、椎骨のうち、5〜6椎ほど、(多い人は10椎くらい)を1つの骨にしてしまい、固めることです。 そのために椎と椎の間にある椎間板を抜き、そこに骨を砕いてパテのようにした「ボーン・グラフト(bone graft)」を移植します。 手術後、時間がたつうちに、移植したボーングラフトがもとの骨と融合(fusion)して、1つの大きな骨になります。 ボーン・グラフトは、骨盤を削るか、抜いた肋骨を使用する場合が多いですが、ボーン・バンクから提供された骨を用いることもあります。 そして、カーブを矯正するためにロッド(rod、金属棒)やネジ、ワイヤーなどのインプラント(instrumentation)も用います。 コブ度が非常に大きく(大体80度以上)、変形した肋骨が肺を圧迫している場合には、肋骨を何本か抜くこともあります。 

 滋賀県立小児医療センター整形外科のHPに、側わん症の手術についての説明があります。(「手術の説明」→「側彎手術」をクリック)(情報提供者:スイミングママさん)

 骨融合手術(Bone Fusion Surgery)の大まかな手順をアニメ化したページがあります。 英語ですが、アニメーションなので、イメージはつかめるのではないかと思います。"Step by step" "Next step" "Play animation"などのタブをクリックして、次の画面に進んでください。(MacromediaのShockwave Playerが必要です。もっていない場合にはインストール画面が起動します)。

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● 側わん症の手術はいろいろな方法があるのですか?(Are there various surgery methods?)                                  

 その通りです。一口に「側わん症の手術」といっても、 実にたくさんの方法があります。

 まず、脊椎への到達方法によって、大きく2つに分けられます。

後方手術(posterior approach) 脊椎の後ろ側から固定する方法。すぐに背骨に到達できるので、手術時間が短くて済み、体への負担も少ない。まだ比較的骨が柔軟な人に使われることが多い。ただ、傷跡が大きい。
前方手術(anterior approach) 脊椎の前側から固定する方法。肺などいろいろな臓器を取り除けて背骨に到達するので、体への負担が大きい。角度が大きかったり、年令が高いために、骨が固くなっている人に使われることが多い。

 若く、角度が比較的小さい患者さんでは、骨がまだ柔軟なので、後方手術のみで済むかもしれませんが、年齢や角度が大きく骨が固くなっている患者さんでは、前方、あるいは前方と後方の両方を行うことになるかもしれません。

 また、背骨の固定方法にも、実に多くの方法があります。もっとも有名な方法は、1940年代にハリントン医師によって開発されたハリントン(Harrington)方式です。それまで脊椎の手術は非常に危険なものだったのですが、ハリントン方式が開発されたことによって、側わん症の手術は安全性が高まり、カーブの矯正も可能になり、一気に普及しました。1980年代頃までは、側わん症の手術といえばハリントン方式でした。現在ではこの方式はほとんど用いられていません。しかしハリントン方式は、それまでの脊柱固定手術のやり方を覆す、とても画期的な方法だったので、そのコンセプトは今でも多くの手術方法にいかされています。その後も、多くの手術方式が開発されています。オーストラリアで開発されたDwyer方式、ドイツで開発されたZielke方式、メキシコ人医師が開発したルーキー(Luque)方式、フランスの2人が医師が共同で開発したCortel-Dubousset(CD)方式などが有名です。比較的最近開発された方式では、モス・マイアミ(Moss Miami)方式セグメント(segment)方式アイソラ(Isola)方式、北大の金田先生が考案されたカネダ方式などがあります。手術の技術は、側わん症の研究の中でも、もっとも進歩著しい分野です。

 1995年には、アメリカのカリフォルニア州で内視鏡による手術方法(endoscopic surgery/minimal invasive surgery)も開発されました。この手術方法は切る部分が小さいため、体への負担も出血も少なく、回復が早く、傷跡も小さいのが特長です。ただしすべての人に適しているわけではなく、まだ成長期にある10代前半の、骨の柔軟な、右胸椎カーブの患者さんに適しているといわれています。

 手術が必要になった場合には、あなたの執刀医がカーブ、角度、年令、他の疾患、体の全体的な状況等を考慮して、一番いいと思われる手術方法を選択してくれるでしょう。

「ハリントン方式」

(N Schommer, "Stopping Scoliosis"
着色は訳者)

「ルーキー方式」

(N Schommer, "Stopping Scoliosis"
着色は訳者)

「セグメント方式」

(Neuwrith & Osborn "Scoliosis Sourcebook" ) 

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● ロッド(金属棒)は一生入れたままでも大丈夫なのでしょうか?(Do you have to take out the implanted rod?)                           

 基本的に一生入れたままでも大丈夫です。

 しかし、炎症を起こしたなど、トラブルが起きた場合、またロッドがこすれる、違和感が強い、などといった場合には、再度開けてロッドを取り除く(「抜釘」といいます)こともあります。

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● 手術でカーブはどのくらい改善されますか?またリブハンプ(背中の盛り上がり)は目立たなくなるのでしょうか?(How much will the surgery correct my curve? Will my rib hump disappear?)

 手術でどのくらいカーブが改善されるか「矯正率」といいます)は、次の要素に左右されます。
  1.患者の年齢 
  2.骨の柔軟さ 
  3.コブ度 
  4.全体的な健康状態 
  5.執刀医の腕と経験
  6.手術方法 
 このため、どのくらい矯正されるかは、一概にはいえません。 年令が高く、コブ度が大きくなるほど、骨の柔軟性が失われるので、矯正率は落ちます。 コブ度が100度くらいになってくると、背骨がかなり固くなるので、矯正率はかなり落ちます。 また、後方よりも前方手術のほうが矯正率が高いので、年令やコブ度の高い人は、前方手術が多いです。

 最近は手術の技術が大きく進歩したので、矯正率もかなり高くなってきました。平均的な矯正率は、50%〜80%といわれています。たとえば、手術前のコブ度70度なら、矯正率50%で35度、80%で14度になるということです。

 手術が決まると、手術でどのくらい矯正できそうか予想するためのレントゲン写真を撮ります。大抵は、体をぎゅーっとひっぱられた状態で撮ります。医師は、そのレントゲン写真を見て、どのくらい矯正できそうか、予測します。ただしもちろん、手術でその通りにいくとは限りません。

 肋骨隆起「リブハンプ」の改善は、手術を受ける患者にとって大きな関心事の1つです。 手術中、背骨を伸ばすだけで、背骨のねじれがとれ、リブハンプがかなり目立たなくな場合が多いです。 しかし背骨が固くてあまり背骨が伸びない人や、背骨を伸ばしてもリブハンプが目立つ人は、肋骨の一部を切り取る形成術(「リブプラシー」(thoracoplatsy)といいます)を行うことがあります

 矯正された角度は、手術直後より少し時間がたつと、若干(2〜7度くらい)戻る場合がありますが、手術前の角度にまで戻ることはありません。 術前の角度にまで戻ってしまうのは、移植した骨が定着しない、インプラントに不具合がある、ロッドが折れるなど、トラブルが発生した場合です。

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● 手術に最適な年令は何歳くらいですか?(Is there a magic age for fusion surgery?)                                

 側わん症の手術は、骨のある程度成長が終わっていれば、若ければ若いほどいいとされています。若いほうが骨も丈夫ですし、体力もあるので術後の回復も早く、骨が柔軟なため矯正率も高いからです。年齢があがるほど、こうした利点は失われ、手術のリスクも高くなります。 そのため10代後半〜20代前半が一番良いだろうといわれています。

 しかし30代、40代で手術をした人も少なくありません。50代、60代、70代(!)で手術をした方の話も聞きます。 ただ、年齢があがるごとに体力が落ち、手術のリスクが高くなり、回復にも時間がかかります。 とくに女性は閉経後、骨がもろくなってきますので、「50歳以上の女性には側わんの手術はしない」という先生もいます。 大人で手術をする場合には、骨密度を含め、体全体の状態を十分考慮すべきでしょう。

 大人の場合、背中や腰の痛みがひどくて、手術を検討する人が少なくありませんが、手術をすれば必ず痛みがなくなったり、軽くなるという保証はありません。 変わらなかったり、別の痛みがでたり、かえって痛みがひどくなる場合もあります。

 18歳未満で手術を受ける場合には、育成医療費というものを申請すれば、とても少ない費用で手術を受けることができます。負担額は、所得額などによって異なります。手続きは、治療を開始する前にしてください。詳しいことは、地域の自治体にお問い合わせください。(情報提供者:晴れたらいいなさん)

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● 手術のメリットとデメリット(リスク)には何がありますか?(What are the gain/loss of fusion surgery?)                             

 手術のメリットとデメリットをリストアップしてみました。

 もちろん、これは一般的なものなので、その人の年齢、側わんの位置、角度、健康状態、などによって大きく異なります。  手術を決断する前に、医師と十分話し合ってください。

手術のメリット
* 重い側わんによる心肺機能の低下と、それが引き起こす重篤な症状が防げる。将来、肺炎や心不全などで命を落とす危険性を減らせる。(手術の最大の目的)
* 固定した部分の側わんがそれ以上進行しなくなる。
* 背骨が伸びるため、身長が伸びる。(当たり前のことですが、足は伸びません)。
* 側わんが重く、呼吸機能が低下していた人の場合、呼吸機能が向上することが多い。
* 外見上のコンプレックスから解放される。手術の傷跡は残っても、大抵、体は術前よりも左右対称に近くなる。
* つらいことを乗り越えたという自信がつく。
* 家族や友人との絆が強まる。
手術のデメリット(リスク)
* 手術中に神経が傷つけられ、手足に麻痺や感覚異常などの後遺症が残るかもしれない。
* 肺炎、気胸症、神経麻痺、感染症といった合併症にかかるかもしれない。 命を落とすことさえ、あるかもしれない。
* 体の柔軟性が失われ、動きが制限される。 柔軟性がどのくらい失われるかは、固定する場所や長さによって異なる。 術後もバレエを踊れる人もいれば、ズボンやストッキングをはく、顔を洗うといった日常動作さえ難しくなる人もいる。 大体、固定する部分が長いほど、また背骨の下のほうまで固定するほど、柔軟性は失われる。
*  ラグビー、サッカーなど、人と激しくぶつかり合うようなスポーツはできなくなる。
* 体内に入っている金属がトラブルを起こすかもしれない。 ロッドが折れる、ネジが脱落する、入れた器具が炎症を起こす、こすれて不快感や痛みが出る、などなど。 トラブルは、手術から10年、20年たってから出てくる場合もある。 再び手術が必要になることも。
* 術後は、手術で固めた部分のすぐ上と下(とくに下)の椎間板と骨に大きな負担がかかるので、手術の翌日からこの椎間板と骨へのダメージが徐々に始まる。
* 自分が手術した後に、もっといい手術方法が開発されるかもしれない。 あるいは、自分の手術方法が実はあまりよくなかったということがわかるかもしれない。
* 側わんの手術は、まだ普及してから30〜40年しかたっていないので、手術をした人が高齢になったらどうなるのか、まだ全くわかっていない。

 どんな手術にもリスクがありますが、とくに側わんの手術は体の奥深くに触れる大掛かりな手術で、「体への負担は、心臓の手術に匹敵するほど」という医師もいます。 リスクは、年齢が高くなるほど、高くなります。 10年、20年後にトラブルが出てくる可能性もあります。  

 側わんの手術は美容手術ではありません。 決して、外見だけの理由で、決断すべきではありません。 

 心臓や呼吸器に異常のある人では、医師から「命を落とす危険性が高く、無理」といわれるかもしれません。  側わんの手術は、リスクを超えるメリットがあるときにのみ、行うべきものです。

 

手術による合併症の確率

病院や執刀医の経験、患者の年令や健康状態などによって大きく異なります。
詳細はご自分の執刀医にお尋ねください。
 

融合不全(移植した骨が完全に定着せず、固定した部分が動いてしまう→ロッドが折れる原因に)

5〜27%

後遺症的な痛み

5〜15%

肺塞栓症(Pulmonary embolism 血管の詰まり)

1〜20%

死亡率

1〜5%未満

神経系の合併症

1〜5%未満

感染症

0.5〜5%

(B. Lyons "Scoliosis Ascending the Curve" p 234をもとに作成)

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● 背中の金属棒は、空港の金属探知機にひっかかりませんか?(Will my rods set off the alarms at airports?)                

 "Scoliosis: Ascending the Curve"の本には、「基本的には大丈夫だが、5〜10%の確率で鳴ってしまう可能性がある。念のため、医師の診断書などを持ち歩いておくといいでしょう」とあります。

 アメリカの男性の中には、「医師の診断書だと偽造を疑われるかもしれないので、レントゲン写真のコピーを財布に入れている」という人もいました。

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● 子供が遠方の病院に入院します。家族が安く泊まれる施設はありませんか?(Low cost accomodations for families?)

 「サポートハウス」とか、「ファミリーハウス」と呼ばれているものがあります。 このキーワードで、検索してみてください。

 「お役立ち過去ログ」のページにも情報がありますので、ご参照ください。

(2005年2月UP)

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4.側わん症の大人が、よく尋ねる質問(FAQs.)

● 片方の肋骨が出っ張っていますが…?(My rib cage is deformed.)                                         

 側わん症は背骨がねじれながら曲がるため、ある程度度数が大きくなってくると、肋骨が変形し、片側の肋骨がもう片方より出っ張ってきます。側わん症の人にはよく見られるものです。

 このほか、側わん症の人の体形の特徴:
  ・手足が長い (つまり、身長に対して胴体が短い、座高が低い)
  ・ウェストのくびれ方が左右で違う
  ・肩の高さが左右で違う
  ・腰の高さや形が左右で違う
  ・片方の肩甲骨が飛び出している
  ・足の長さが左右で違う
 (ただし、腰のゆがみのため見た目的に違うだけで、本当は同じ長さ)
  ・(女性の場合)胸の大きさが左右で違う (そのため片側だけパッドを入れている、という人もいます)、…など。

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● 特発性側弯症は遺伝しますか?(Is it heritable?)                                               

 この質問も、とてもよく聞かれる質問です。

 親子、兄弟姉妹で側弯症という家族もありますし、側弯症の人が何人もいる家系もあります。このことから、特発性側弯症には遺伝的傾向があるだろうといわれています。そのため、1人のお子さんが側弯症と診断されたら、念のため、ほかのお子さんも検査をしたほうがいいとされています。

 といっても、特発性側弯症が遺伝する確率は、50度以上の重度の人でも、わずか5〜10%ほどといわれています。(マルファン症候群など、遺伝性の疾患が原因で側弯症になった人はこの限りではありません。)

 また、側わん症の子供は、@体形がきゃしゃ、A身長が急に伸びる、B腹筋・背筋が弱い、という特徴があるので、「側わん症が遺伝する」というよりは、「側わん症になりやすい体質や体形が遺伝する」のだろうという意見もあります。(情報提供者:ikuyoさん)

 アメリカでは、親戚に2人、あるいは4人以上側弯症の人がいる患者さんを募集して、遺伝学的視点から側弯症の原因を研究しています。側弯症と遺伝子の関係も、今後研究が進み、解明が期待される分野です。

 ところで、もしも子供も自分と同じ特発性側わん症だった…ということがわかっても、どうぞ悲観したり、ご自分を責めたりしないでください。 側わん症の人の間でよく、「親は側わん症ではないので、自分の気持ちがわかってもらえない」、「近くに側わん症の人がいたら…」という声を聞きます。 あなたのお子さんは、一番身近に経験者/大先輩がいるのですから、恵まれているのではないでしょうか。

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● 大人ですが、最近、側わん症と診断されました。(I am an adult recently diagnosed as scoliosis.)                         

 大人になってから側わん症と診断される人のほとんどは、若い頃から側わん症だったものの、気づかずに来た人だといわれています。

 一度、病院の整形外科の中にある、側わん症外来で専門医に診てもらったほうがいいでしょう。

 子供と違い、角度が50度未満の大人は進行する確率が低いので、とくに治療などはありません。大抵は、「何年かに一度、定期検診としてレントゲン写真を撮って、進行していないことをチェックするだけでいい」といわれるでしょう。 ごく軽いなら、「できることは何もない」とか、「気にすることはない」といわれるかもしれません。

 一方、50度を超えている人は、今後も進行する確率が高いとして、手術を勧められるかもしれません。突然手術と言われ、驚き、戸惑うことでしょう。 しかし、側わんの手術は、とりわけ大人の場合、急いでやる必要はありませんし、やる必要がないケースもあります。 進行は確率の問題ですから、進行する場合もあれば、進行しない場合もあるわけです。 たとえば、1〜2年に1回くらいの頻度でレントゲンを撮ってみて、もし確実に進行しているようなら、そこで初めて手術を検討してみてもいいかもしれません。 

 本HPの「女性と側わん症」のページの中の「成人の側わん症」のコーナーも参照してみてください。

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● 子供の頃、軽い側わん症と言われました。その後病院に行っていませんが、最近急に不安になってきました。 どうしたらいいでしょうか? (I was diagnosed as mild scoliosis as a child. I haven't been to a doctor since. But suddenly I got real worried. What should I do?)                         

 もし、本当に気がかりなことがあるなら、病院に行って、専門医の診察を受けることをお勧めします。

 病院は、こちらからお探しください

 ただし、軽い側わん症は大人になってからはほとんど進行しませんし、軽い側わん症が生活に支障をきたすことはまずありません。 

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● 側わん症が内蔵に影響を与えることがあると聞きました。最近、生理痛がひどいです/胃がよく痛みます/頭痛持ちです、etc。側わんのせいでしょうか?(Is my menstrual pain/stomach ache/head ache/motion sickness, etc. because of my scoliosis?)                             

 側わん症は、まず関係ないでしょう。 なぜなら、側わん症が内蔵に直接影響するのは、100度を超えた胸椎カーブだけだからです。 

 胸椎カーブが100度を超えると、肺機能が低下し、心臓にも負担がかかります。 しかし、これ以外に、側わん症が直接内蔵に影響することはないとされています。

 頭痛がひどいなら、側わん症外来よりも、頭痛外来に行かれたほうがいいでしょう。

 胃がよく痛むなら、側わん症外来よりも、消化器科に行かれたほうがいいでしょう。 

 生理痛がひどいなら、婦人科に行かれたほうがいいでしょう。 

 しかし、日本人女性の65%は、大なり小なり生理痛持ちなのだそうです。 婦人科系は、ストレス、冷え、環境の変化、体調などの影響を受けやすい、とてもデリケートな器官です。 下着を1枚余計に着ける、お風呂であたたまる、気分転換をする、ゆっくり休養する、鉄分やビタミンEなどの栄養をバランスよくとる、無理のない範囲で体を動かす…。 漢方薬や鍼やお灸も、効果があるかもしれません。
 たとえば、私事ですが、私も以前は生理痛がひどかったのですが、半身浴をし、体を冷やさないよう気をつけるようになってから、ずいぶん楽になりました。 あなたも、生活習慣を少し変えてみるだけで、楽になるかもしれません。

 なお、ひどい生理痛のかげには、婦人科系の病気が潜んでいる場合もあります。 私のところに「生理痛がひどいのですが、側わんのせいでしょうか?」と尋ねてきた女性で、「勇気を出して病院に行ってみたら子宮内膜症だった」という方もいます。 おかしいと思ったら、婦人科に行かれたほうがいいでしょう。

(2005年7月26日UP)

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● 大人用の装具はありますか?(Braces for grown-ups?)                                          

 側わんを治療するための装具は、角度が50度以下で、骨の成長が終わっていない、まだ骨が柔軟で進行する確率が高い、10代の子供向けのものです。そのため、側わんを治療するための装具は、骨の成長が終わり、もうほとんど進行しない大人が着用しても、苦しいだけで効果は極めて薄いと言われています。 さらには必要な筋力まで落ちてしまい、マイナス面のほうが大きいとも言われています。

 大人が装具をつけるとしたら、側わんの治療をするための装具ではなく、いわゆる「軟性コルセット」と呼ばれる腰を支えるためのものになります。腰痛がひどい人の場合、これをつけると楽になることがあります。 こうしたコルセットは、ドラッグストアなどで売っているものもありますが、自分の体に合わせて作りたい方は、お医者さんに相談されてください。ただし、コルセットをつけても側わんの進行がとめられたり、側わんがよくなったりすることはありません。

 また、成長中の子供と違って、大人がコルセットをすると、筋力が急激に落ちてしまい、ますますコルセットに頼ることになり、結果的にますます痛くなるという悪循環に陥る場合があるので、大人がコルセットをする場合は、腹筋などの筋トレは絶対条件です。そして、コルセットをつけるよりも、なるべく腹筋や背筋をきたえて、コルセットをしないですむようにするほうが望ましいことです。

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● 結婚式を挙げますが、私にあうドレスはあるでしょうか?(Are there wedding dresses I can wear?)                                

 大丈夫! ウェディングドレスの種類はたくさんあります。それにドレスの生地は比較的厚手ですし、ベールもありますから、体の線や背中のラインはほとんど出ないと思います。私は側わん症の医師にも驚かれるほどの大きなリブハンプがありますが、私でもあまりわからなかったので、ほとんどの人は全然わからないと思います。

 たくさん試着してみて、気に入ったのを選んでください。気になる人は、式の当日、着付けをしてくれる人や介添えの人に一言言っておくといいかもしれません。プロなので、きっと黙ってうまくやってくださいますから、背中のことなど気にせずに一生に一度の結婚式を堪能してください。花嫁は笑顔が一番です!

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● 妊娠・出産への影響は?(Can I have babies?)                                             

 この質問は、側弯症の女性の間で、非常によく聞かれる質問です。

 側わん症でも、子供を出産している女性は大勢います。側わん症は妊娠には何の影響もないといわれています(http://www.isoliosis.comのFAQ、 Neuwrith & Osborn著"The Scoliosis Sourcebook"など)。とはいえ、妊娠・出産は女性にとって大仕事ですし、側わん症ではない健康な人にとっても大きな影響を与える場合があります。  

 また、手術をしていない人の中には、少数ながら、妊娠・出産後に側わんが進行する人がいることが報告されています。どのような人が妊娠後側わんが進行するのかについては、まだはっきりした調査結果は出ていませんが、50度を超える人に多い傾向が見られます。そのため、妊娠・出産した後に、背骨のレントゲン写真を撮るよう、勧めている医師もいます(Neuwrith & Osborn著"The Scoliosis Sourcebook"など)。

 以下はスウェーデンの研究者による医学論文をもとに、私が作成した表です。

思春期特発性側弯症の治療から22年経過した女性の
出産、わん曲の進行、性的機能に関する調査

  手術経験者 装具経験者 コントロールグループ(=側わん症ではない人)
結婚経験者の割合 85% 85% 82%
出産した子供の数 1.8人 1.9人 2.0人
初産年令 26.6歳 28.0歳 25.9歳
妊娠時の腰痛経験者の割合 35% 43% 28%
帝王切開の割合 19% 14% 18%
吸引分娩の割合 16% 8% 5%
性活動が制限されていると感じる人の割合 33% 28% 15%

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● ロッドが入ったままですが、出産しても大丈夫でしょうか? また手術後、妊娠するまでどのくらい待つべきでしょうか?(I have rod implants. Can I deliver babies? How long should I wait after surgery to have babies?)

 この質問も、側弯症の女性の間で、非常によく聞かれる質問です。

 ロッドが入ったまま、出産している女性は大勢います。ただ、ロッドが入っている女性は、入っていない女性より、帝王切開や吸引分娩の割合が若干高いという説もあります。上記の表も参照してください。

 何より、かかりつけの産院・病院に相談されてください。 また、必要なら、側わんの手術をしてもらった医師にも問い合わせるといいかもしれません。

 手術後、どのくらいしてから妊娠してもいいかについて、専門医は次のように書いています。

 「妊娠は、完全に治癒していない脊椎固定部分に対して、良くない影響を与える場合があります。妊娠すると、背中にさらに負担がかかります。そのため、私は側わん症の患者さんに対し、妊娠は手術から6ヶ月以上経ってからにするように…とアドバイスしています。 具体的な期間については意見が分かれるところですが、妊娠というテストをする前には、固定部分が十分固まっていると判断するのに十分な根拠を得てからにしたほうが良いと思います。 私の患者さんのなかには、手術後6ヶ月以内に妊娠した女性もいます。 幸い、妊娠中にトラブルが起きた人はおらず、皆さん、手術部分はちゃんと固定されたままでした。 しかしこうしたハッピーエンドがあったとはいえ、手術後すぐに妊娠することはお勧めしません」 (Neuwirth and Osborn "Scoliosis Sourcebook" p191-192)

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● 大人になった後も進行しますか?(Will it progress after growth spurt?)                                   

 以前は、特発性側弯症は成長が終わったら進行しない、と思われていました。しかし最近では、大人になった後も進行する場合があることがわかってきています。その人のカーブが進行するのかしないか、進行するとしたらどのくらい進行するのか…を正確に予測することはできませんが、成長が終わった時点でのコブ角の度数が大きく関係します。成長が終わった時点でのコブ度が低ければ低いほど、進行する確率は低く、反対に大きければ大きいほど、進行の確率が高くなります。 ちょうど、大きく傾いている建物ほど崩れやすいのと同じ原理です。

成長が終わった時点でのコブ度

大人になった後も進行する確率

〜40度 進行の確率は極めて低い。
40〜50度 進行するかどうかの予測が、もっとも難しい。
50度〜 進行する確率が高い。また度数が大きいほど、進行する確率も高くなる。進行のペースはだいたい年に1〜2度くらい。

 この他、遺伝的要素が極めて強い人、座りっぱなしの生活(車椅子など)により筋力が極端に弱い女性、太りすぎにより背骨にかかる負荷が大きい人も、進行する確率が高くなるという説もあります。(N. Schommer "Stopping Scoliosis" p 44-45)

 なお、成長が終わって間もない20代のうちは、まだ骨も柔軟なので進行する可能性がありますが、30代、40代と年が進み、骨がどんどん固くなっていくにつれて、進行する可能性は下がっていきます。

   以上から、大体30〜40度以上の人は、装具療法が終わった後も、進行していないか、たまには専門医のもとでレントゲン写真を撮って確認したほうがいいとされています。

成長が終わった時点でのコブ度

大人になってからの、定期検診の頻度

〜30度 まず進行しないので、とくに気になることがない限り、定期的に診てもらう必要はない。
30〜50度 3〜5年に1度くらいのペースでチェックしたほうがいい。
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