ネコにもわかる(?)側わん症用語集

My First Scoliosis Glossary

 

 側わん症と診断され、初めて病院に通い、検査をする人も少なくないでしょう。

初めて耳にする言葉に戸惑うこともあるでしょう。

そんなとき、このページを辞書がわりに活用してみてください。

アンダー・アーム・ブレス

(Under arm brace) 側わんの進行を抑えるために使われる、わきの下から腰までの装具の総称。「TLSOブレス」、「ロー・プロファイル・ブレス(Low profile brace)」と呼ばれることも。Low profileとは、「目立たない」という意味。 (→ミルウォーキーブレス)

 

MRI

Magnetic Resonance Imagingの略。日本語に訳すと、「磁気共鳴画像」。体の中の様子がわかる、輪切りの映像。CTスキャンと違い、磁気を使うので被爆の心配がないが、体内に金属が入っている人はできない。検査では長い筒のようなものに入り(閉所恐怖症の人にはつらいかも)、ガンガンガン!という工事現場のような大きな音がする。 (→CTスキャン)

回旋(かいせん)

(rotation) 側わん症は背骨が横方向に曲がるだけでなく、ねじれながら曲がるのが特徴。この「ねじれ」のこと。基本的に側わんが重くなるほど、ねじれも大きくなる。

 

機能性側わん症

(functional scoliosis) 姿勢が悪い、いつも同じ方向にかばんを持っている、などといった生活習慣や痛みのためにいつも体をねじっていることなどが原因で、一見背骨が曲がっているように見えるもの。レントゲンを撮ってみると、実際には背骨は曲がっておらず、背骨を作っている骨の変形もなく、原因を取り除くと、背骨はまっすぐになる。世間では、これとホンモノの側わん症(→構築性側わん症)とを混同しているものをときどき見かけるので、注意が必要。

 

胸椎(きょうつい)

(thoracic) 脊椎のうち、胸の部分。第1胸椎から第12胸椎まで、12個の骨からできている。

 

胸椎型カーブ

(thoracic curve) 側わん症のカーブのうち、胸椎部分にカーブがあるもの。側わん症の中でももっとも多いタイプのカーブで、女子に多く、右に出っ張ることが多い。70〜80度を超えると、変形した肋骨により片方の肺が圧迫され肺機能が低下してしまう。

 

矯正率

(correction rate) 側わん症の手術で、カーブが矯正される割合。たとえば、90度の人が手術で45度になれば矯正率は50%。一般に手術時の年齢と角度が高くなるにつれて、矯正率は下がる。

 

胸腰椎型カーブ

(thoracolumber curve) 側わん症のカーブのうち、胸椎と腰椎にまたがった部分にカーブがあるもの。他のタイプのカーブに比べ、胴体のねじれが目立ちやすい。 (→腰椎型、胸椎型)

 

頚椎(けいつい)

(cervical spine) 首の骨のこと。7個の骨からできている。

 

牽引(けんいん)

(traction) ベッドに横になり、頭と腰をストラップで固定し、胴体をぐぐーっと引っ張るリハビリ方法。以前は側わんの治療として有効だと思われていたが、最近はどうも効果がないらしいとして、あまりやらない。

 

構築性側わん症

(structural scoliosis) 狭い意味、本当の意味での側わん症。背骨そのものが彎曲しており、彎曲部分の背骨を構成している骨が変形している。(→機能性側わん症)

 

後方手術

(posterior approach) 側わん症の手術で、脊椎を後ろ側(背中)から固定する方法。前方手術より、体への負担が少ない。 (→前方手術)

 

(脊柱)後わん症

(kyphosis) 体を横から見たとき、背骨が極度に後ろに出っぱるように彎曲している状態。 (→前湾症)

 

コブ角

(Cobb angle) 側わん症の程度を測るために、使われる方法。側わんが進行していないか見る目安になり、また治療もこのコブ角の度数を基準にして行われることが多い。Cobb(コブ)という名前のアメリカの医師が考案した。

坐骨神経痛

(sciatica) 腰から太ももの裏側をつーっと通って、足にかけて走るしびれや痛み。一番多い原因は椎間板ヘルニア。

 

CTスキャン

Computerized Axial Tomographyの略。体の中の状態がわかる輪切りのレントゲン映像。検査ではドーナッツのような形のものに入る。MRIより短時間で済み、うるさい音もしない。

 

神経ブロック

(nerve block) 痛みの原因になっている神経に局所麻酔をして麻痺させ、痛みを取る治療法。

 

シングル・カーブ

(single curve) 脊椎にカーブが1つあること。 (→ダブルカーブ)

 

脊柱固定手術

(spinal fusion surgery) 脊椎の一部、あるいは全部を固定する手術のこと。側わん症の手術もこの中に入る。

 

脊椎症

(spondylosis)脊椎の強直。年を取って出てきた、脊椎のいろいろな病変に広く使われることも。

 

脊椎すべり症

きれいに整列した脊椎のどれかが、列からぽこっと飛び出している状態。イメージ的には、だるま落としをやっていて、コマ(というのでしょうか)がうまく抜けず、飛び出た状態…?

 

正中線

(plumb line) 体の傾き具合やバランスを見るために、頭の上から床に向けて、まっすぐ下にたらした線。頭、背骨、骨盤、かかとがすべて、この線上に並ぶのが理想。側わん症の人では、頭や骨盤がこの線からずれている場合が多い。

 

脊髄(せきずい)

(spinal cord) 背骨の中央にトンネルのように続く穴を通っている、とても大切な神経。脳の延長。

 

脊柱管狭窄症

(spinal stenosis) 腰の部分の背骨の神経が通る部分の脊柱管が狭くなって、神経が圧迫され、足の痛みなどを引き起こすもの。

 

仙骨

(sacrum) 脊椎の一番下、尾てい骨のすぐ上にある、扇のような形をした骨。

 

先天性側わん症

(congenital scoliosis) 生まれつき、背骨が曲がっているもの。側わん以外にも骨の異常がある場合が多い。

 

前方手術

(anterior approach) 側わんの手術で、脊椎を前側から固定する方法。わき腹のあたりを切り、肺などたくさんの内臓をどけてから脊椎に達するので、後方手術より体への負担が大きい一方で、固定する部分が少なくて済む。 (→後方手術)

 

(脊柱)前わん症

(lordosis) 体を横から見たとき、背骨が極度に前に出っぱっていて、体が前にそっている状態。(いわゆる「はと胸」のような状態。) (→後湾症)

 

足底板(そくていばん)

(shoe lift) 腰の高さの違い、交通事故などにより、足の長さが左右で違っている人が、短いほうの足の靴に入れる中敷などのこと。

代替医療

(alternative treatment) 「代替補完医療」とも言う。鍼灸、指圧、気功、健康食品、温泉療法、アロマテラピー、マッサージなど、西洋医学では科学的に検証されていなかったり、診察や治療に用いられていない医療分野の総称。日本でいうところの「民間医療」もこの中に含まれる。非科学的な治療もある反面、経験から安全性や効果が認められている治療もある。最近アメリカなどでは、代替医療を西洋医療と組み合わせて、治療の効果を高めようという「統合医療」の分野の模索が勧められている。

 

ダブルカーブ

(double major curve) 脊椎にカーブが2つあること。多くは、胸椎カーブと腰椎カーブとの組み合わせで、逆S字の形。 (→シングルカーブ)

 

椎間板

(disc) 背骨を作っている1つ1つの骨と骨の間にあり、クッションのような役割を果たす衝撃吸収剤。年をとるにつれ、徐々にへたってくる。側わんの手術をした人は、固定した部分のすぐ下の椎間板に通常の何倍もの負荷がかかるので、早くも30代40代でへたってしまいやすい。

 

椎間板ヘルニア

(disc hernia) 椎間板が破れ、中身が出てしまうこと。出た中身が神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こすこともある。

 

椎骨

(vertebra) 背骨を作っている、積み重なった骨の1つ1つのこと。

 

低周波電気刺激

(TENS) 痛みの原因となっている神経に弱い電気を流して刺激することによって、痛みを楽にする治療法。

 

特発性(とくはつせい)

(idiopathic) 他の病気の結果起きているのではなく、それだけで起きている病変で、原因がわからないもの。(「突発性」と間違える人がとても多い)。

 

特発性側わん症

(idiopathic scoliosis) 側わん症のうち、原因が特定できないもの。側わん症全体の約80%を占める。

 

突発性(とっぱつせい)

(cataplectic/spontaneous) 原因がわからず、ある瞬間に突如として発生する病変。(ある瞬間に突然聞こえにくくなる「突発性難聴」、など)。

 

トリプル・カーブ

(triple curve) 脊椎にカーブが3つあること。

ハリントン方式

 

(Harrington method) 1940年代にハリントン医師がポリオによる重度側わん症患者のために開発した、側わんの手術方法。それまでの脊柱固定術が背骨を固めて進行を止めるだけだったのに対し、カーブの「矯正」を可能にした点で、とても画期的だった。1960年代から一般の側わん患者にも広く行われるようになり、1980年代までは側わんの手術と言えば、ほとんどハリントン方式だった。今ではほとんど用いられていないが、そのコンセプトは多くの手術方法にいかされている。

 

ハリントン・ロッド

(Harrington rod) ハリントン方式術で使用される金属棒のこと。ロッドの上端と下端の2か所のみで脊椎に固定する。

 

ハーロー牽引

(halo traction) 側わんの手術前に行う牽引法。頭蓋骨と骨盤に輪っかを取り付け、間に金属棒を入れて背骨を伸ばしていく。100度を超える高度側わんの患者に行われることが多い。拷問だという人も。Haloとは「天使の輪」という意味。

 

ペインマネジメント

(pain management) 理学療法、体操、鎮痛剤、生活習慣の改善などによって、痛み(ペイン)がひどくならないよう管理(マネージ)していくこと。

 

変性側わん症

(degenerative scoliosis) 「老人性側わん症」ともいい、老化によって背骨が曲がったもの。

 

ボーングラフト

(bone graft) 側わん症の手術で、脊椎を固定する部分に移植する骨のこと。

 

ボストンブレス

(Boston brace) 側わんの進行を抑えるために使われるわきの下から腰までの装具で、アンダーアーム・ブレスの一種。

ミルウォーキー・ブレス

(Milwaukee brace) 側わんの進行を抑えるために使われる、首から腰までの装具。アンダーアームブレスより目立ち、首が固定されているため真下が見えないので、つける者にとってはかなり大変。

 

モアレ撮影法

(moire topography) 体のゆがみなどをチェックするために、地図の等高線のようなしましまを背中に投影する撮影方法。

腰椎

(lumber) 背骨のうち、腰の部分にあるもの。第1腰椎から第5腰椎まで、5個の骨からできている。

 

腰椎型カーブ

(lumber curve) 腰椎部分がカーブしているもの。

理学療法

(physical therapy) 体操、温冷熱療法(患部を温めたり冷やしたりする)、電気刺激、牽引、マッサージなどといった物理的方法で、体のもとの機能を回復させようという治療法。欧米では側わんの人のペインマネジメントにもよく使われているらしい。

 

リブハンプ

(rib hump) 肋骨隆起。背骨がねじれながら曲がり、肋骨が変形することによってできる背中の盛り上がりのこと。「リブ(rib)」とは肋骨のこと。(リブ・ステーキのリブ、と言ったらわかるでしょうか…)

 

リブプラッシー

(thoracoplatsy) リブハンプを小さくするために、肋骨の一部を切り取る形成術。骨が柔軟な患者やリブハンプが比較的小さい人は、手術中背骨を矯正しただけでねじれが取れ、リブハンプはなくなるが、それではなくならない人に行なう。側わんの手術中に行われることが多く、切り取った骨は大抵移植用の骨に使う。

 

ロッド

(rod) 手術で背中に入れる金属棒のこと。

 

参考文献:『イミダス』(小学館)、『現代家庭医学大事典(3訂版)』(講談社)、『ステッドマン医学大辞典(第4版)』(メジカル・ビュー)、Neuwirth & Osborn "Scoliosis Sourcebook," L. Brooke "Scoliosis: Ascending the Curve"、下出真法『中高年の坐骨神経痛』(保健同人社)